個別相対効説と手続相対効説の相違点をいくつかの具体的事例(対抗要件たる登記は、いずれも具備しているものとする)において説明すると次のとおりである。甲所有不動産に対しC、Aが不動産競売による差押えをした後、不動産が甲から乙に所有権移転された場合、個別相対効説によれば、乙への所有権移転は、Aとの関係でのみ効力を否定され、Bとの関係で1は有効であるから、甲の債権者Bはこの競売において配当手続に参加する余地はなくなるが、他方、乙の債権者Cは配当手続に参加することができることになる。
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また、配当後に剰余金が出たときは乙に交付されることになる。これに対し、手続相対効説によれば、乙への所有権移転は、Aの差押えによる執行手続との関係で効力を否定されるから、乙の債権者Cも配当要求はできず、配当要求ができるのは甲の債権者Bということになり、また配当後の剰余金も甲に交付されることになる。甲所有不動産に対して、Aが強制競売による差押え(配当における饉先順位での個別相対効説の不都合を明らかにするため、強制競売による差押えを例にしたが、差抑えの効力は不動産競売も同じである)をした後、Bが抵当権の設定を受け、さらにその後にCが一般先取特権に基づき配当要求をした場合、個別相対効説によると.Bの抵当権はAとの関係で効力を否定されるか、Cとの関係では有効である。その結果、配当の場合、AとBは同順位、BはCより先順位、CはAより先順位となり、いわゆるぐるぐる回りを生じ、配当実務上、きわめて困難な問題を生じることになる。これに対し、手続相対効説によれば、1−5の抵当権は、Aの差押えによる執行手続上無視されるから、Aに対してばかりでなくCに対しても効力を否定される。したがって、配当の場合、Bは一般債権者として配当要求をしない限り、配当をいっさい受けられないことになる。